○常陸太田市再生可能エネルギー発電設備の適正な設置と地域環境の保全に関する条例

平成30年9月20日

条例第25号

(目的)

第1条 この条例は、再生可能エネルギー発電設備の適正な設置及び維持管理等に関し、必要な事項を定めることにより、本市の恵まれた自然環境及び歴史ある景観の保全を図るとともに、市民の安全と安心の確保、良好な居住環境の維持及び秩序ある発電設備の設置を推進することを目的とする。

(定義)

第2条 この条例において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。

(1) 再生可能エネルギー発電設備 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法(平成23年法律第108号。以下「法」という。)第2条第3項に規定する再生可能エネルギー発電設備のうち、次に掲げるもの(以下「発電設備」と総称する。)をいう。

 太陽光発電設備(法第2条第4項第1号に規定する太陽光を電気に変換する発電設備をいう。)

 風力発電設備(法第2条第4項第2号に規定する風力を電気に変換する発電設備をいう。)

 バイオマス発電設備(法第2条第4項第5号に規定するバイオマスを電気に変換する発電設備をいう。)

(2) 設置事業 発電設備を設置する工事及び木竹の伐採、土地の形質の変更その他発電設備を設置するために必要な工事を行う事業をいう。

(3) 発電事業 発電設備の設置後、発電を行う事業をいう。

(4) 建築物 建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。

(5) 事業区域 設置事業及び発電事業を行う一団の土地(継続的又は一体的に設置事業を行う土地を含む。)をいう。

(6) 分割案件 実質的に同一の事業者が、同時期又は近接した時期に実質的に一つと認められる場所で、複数の設備を分割して設置することをいう。

(7) 設置者 設置事業を計画し、これを実施する者をいう。

(8) 運営者 発電設備を維持管理し、発電事業を営む者をいう。

(9) 事業者 設置者及び運営者をいう。

(10) 土地所有者 事業区域に係る土地の所有者、占有者及び土地管理者をいう。

(11) 地元関係者 発電設備の設置に関し、その理解を得る必要がある次に掲げる者をいう。

 土地所有者並びに事業区域に隣接する土地の所有者、占有者及び土地管理者

 事業区域の境界からおおむね100メートル以内に居住する者又は事業を営む者

 事業区域及びこれに隣接する土地の町会長並びに同様の職務を担当する者

 風力発電設備からの水平距離が当該発電設備の高さの2倍に相当する範囲内に居住する者又は事業を営む者

 その他市長が必要と認める者

(適用区分)

第3条 この条例の規定は、次に掲げる発電設備について適用する。

(1) 太陽光発電設備 発電出力が10キロワット以上の事業用のもの(当該発電設備を建築物に設置する場合を除く。)

(2) 風力発電設備 発電出力が20キロワット以上の事業用のもの(環境影響評価法(平成9年法律第81号)第2条第2項又は茨城県環境影響評価条例(平成11年茨城県条例第7号)第2条第2項の対象となる事業は除く。)

(3) バイオマス発電設備 発電出力が10キロワット以上の事業用のもの

(市の責務)

第4条 市は、第1条の目的の達成のために、この条例の適正かつ円滑な運用が図られるよう必要な措置を講じなければならない。

(市民の責務)

第5条 市民は、第1条の目的の達成のために、市の施策及びこの条例に定める手続の実施に協力するよう努めなければならない。

(事業者の責務)

第6条 事業者は、発電設備の設置に当たっては、この条例のほか、設置事業及び発電事業に関連する法令等を遵守するとともに、自然環境、景観及び生活環境の保全並びに災害の防止に十分に配慮し、地元関係者との良好な関係の保持に努めなければならない。

2 事業者は、次条に定める事項を遵守するとともに、第8条に定める区域において設置事業及び発電事業を行わないよう努めなければならない。

3 事業者は、第9条に定める事項に配慮して設置事業及び発電事業を行うよう努めなければならない。

4 事業者は、設置事業を中止したとき、又は発電事業を廃止したときは、速やかに当該設備を撤去し、自然環境の回復並びに景観の保全及び災害の防止に努めなければならない。

(令3条例23・一部改正)

(禁止区域)

第7条 何人も、次に掲げる区域(以下「禁止区域」という。)において、設置事業を行ってはならない。

(1) 砂防法(明治30年法律第29号)第2条の規定により指定された砂防指定地

(2) 土砂災害警戒区域等における土砂災害防止対策の推進に関する法律(平成12年法律第57号)第7条第1項の土砂災害警戒区域及び同法第9条第1項の土砂災害特別警戒区域

(3) 急傾斜地の崩壊による災害の防止に関する法律(昭和44年法律第57号)第3条第1項の急傾斜地崩壊危険区域

(4) 地すべり等防止法(昭和33年法律第30号)第3条第1項の地すべり防止区域

(5) 森林法(昭和26年法律第249号)第25条第1項の保安林並びに同法第41条第1項及び第3項の保安施設地区

(6) 河川法(昭和39年法律第167号)第6条第1項に規定する河川区域、同法第54条第1項の河川保全区域及び同法第56条第1項の河川予定地

(令3条例23・追加)

(抑制区域)

第8条 市長は、次の各号のいずれかに該当すると認めたときは、当該区域を発電設備の設置を抑制すべき区域(以下「抑制区域」という。)として指定することができる。

(1) 法令等により自然環境の保全区域として指定されていること。

(2) 自然災害の発生が危惧されること。

(3) 歴史的又は郷土的な特色を有していること。

(4) 常陸太田市環境基本条例(平成20年常陸太田市条例第32号)第10条又は第11条の規定により保全を図る必要があること。

(5) その他発電設備の設置により周辺生活環境に悪影響を及ぼすおそれがあること。

2 前項の場合において、市長は、抑制区域において設置事業を行わないよう設置者に協力を求めることができる。

3 第1項に規定する抑制区域は、市規則で定める。

(令3条例23・旧第7条繰下)

(配慮事項)

第9条 市長は、事業者が設置事業及び発電事業を実施する上で様々な影響があると想定される次に掲げるものについては、配慮が必要な事項(以下「配慮事項」という。)として、事業者に特段の配慮を求めることができる。

(1) 生活環境の保全に関すること。

(2) 防災及び安全対策に関すること。

(3) 地元関係者への対応に関すること。

(4) 発電設備設置後の維持管理に関すること。

(5) 前各号に掲げるもののほか、影響があると想定されること。

2 前項に規定する配慮事項は、市規則で定める。

(令3条例23・旧第8条繰下)

(事業の制限)

第10条 事業者は、常陸太田市暴力団排除条例(平成24年常陸太田市条例第2号)第2条に規定する暴力団、暴力団員及び暴力団員等(以下「暴力団等」という。)又は暴力団等と関係を有するもの若しくは暴力団等がその事業活動を支配するものに該当する場合は、設置事業及び発電事業を行うことができない。

(令3条例23・旧第9条繰下)

(事前協議)

第11条 第13条第1項の規定による許可(以下「設置許可」という。)の申請(以下「許可申請」という。)をしようとする設置者は、事業区域ごとに、設置事業に関する計画(以下「事業計画」という。)を定め、あらかじめ、市規則で定めるところにより、事前に市長に協議しなければならない。

(令3条例23・旧第10条繰下・一部改正)

(合意形成)

第12条 設置者は、設置事業を着手する前に地元関係者へ事業内容を説明し、必要に応じて説明会を開催の上、地元関係者からの意見を集約して合意形成を図るよう努めなければならない。

2 事業者は、設置事業又は発電事業に係る苦情又は要望等があったときは、誠意をもって対応し、必要に応じて協定書等を作成し、理解を得るよう努めなければならない。

(令3条例23・旧第11条繰下)

(設置事業の許可)

第13条 設置者は、次の各号のいずれかに該当する場合は、設置事業に着手しようとする日の30日前までに、市規則で定めるところにより、市長に申請し、その許可を受けなければならない。

(1) 次のいずれかに該当する太陽光発電設備を設置する場合

 発電出力が50キロワット以上(分割案件で合算して50キロワット以上のものを含む。)のもの

 事業区域の面積が500平方メートル以上のもの

 地上高が最大4メートル以上のもの

(2) 発電出力が20キロワット以上の風力発電設備を設置する場合

(3) 発電出力が10キロワット以上のバイオマス発電設備を設置する場合

(4) 第7条第1項の規定により指定された抑制区域に発電設備を設置する場合

2 事業者は、設置許可の内容の変更を行おうとするときは、市規則で定めるところにより、速やかに市長に変更の許可(以下「変更許可」という。)の申請を行い、あらかじめ市長の許可を受けなければならない。

3 事業者は、許可申請又は変更許可申請を取り下げようとするときは、市規則で定めるところにより、速やかに市長に届け出なければならない。

(令3条例23・旧第12条繰下)

(設置事業の着手及び届出)

第14条 設置者は、設置許可を受けた後に、設置事業に着手しなければならない。

2 設置者は、設置事業に着手しようとするときは、市規則で定めるところにより、当該事業に着手しようとする日の10日前までに市長に届け出なければならない。

3 前項の場合において、設置者は、設置事業を中断し、再開し、廃止し、又は完了したときは、市規則で定めるところにより、その都度速やかに市長に届け出なければならない。

(令3条例23・旧第13条繰下)

(事前協議対象外設置事業に係る届出等)

第15条 第13条第1項各号に規定する発電設備以外の発電設備を設置する設置者は、市規則で定めるところにより、当該発電設備の設置事業に着手しようとする日の30日前までに、当該事業の事業計画を市長に届け出なければならない。

2 市長は、前項の規定による届出があったときは、その内容を精査し、設置事業に関連する法令等に基づく手続について助言又は指導を行うとともに、第1条の目的を達成することが困難であると判断したときは、当該事業計画の見直しを行うよう協力を求めることができる。

3 事業者は、第1項の届出の内容の変更を行おうとするときは、市規則で定めるところにより、速やかに市長に届け出なければならない。

4 第1項の場合において、設置者は市規則で定めるところにより、設置事業を着手し、中断し、再開し、廃止し、又は完了したときは、その都度速やかに市長に届け出なければならない。

(令3条例23・旧第14条繰下・一部改正)

(現地確認)

第16条 市長は、第14条第3項又は前条第4項の規定による設置事業の完了の届出(以下「完了届」という。)があったときは、現地確認を行うものとする。

2 市長は、前項の規定による現地確認を行った結果、設置許可又は完了届の内容に相違等があったときは、設置者に対して説明を求めることができる。

(令3条例23・旧第15条繰下・一部改正)

(発電事業の開始)

第17条 運営者は、発電事業の運用を開始したときは、市規則で定めるところにより、速やかに市長に届け出なければならない。

2 運営者は、発電事業の稼働状況等について、市規則で定めるところにより、市長に報告しなければならない。

3 運営者は、発電事業開始後に、運営者又は土地所有者に変更が生じたときは、市規則で定めるところにより、速やかに市長に届け出なければならない。

(令3条例23・旧第16条繰下)

(発電設備の維持管理)

第18条 運営者は、発電設備の維持管理について、適切な措置を講じなければならない。

(令3条例23・旧第17条繰下)

(標識の設置)

第19条 運営者は、発電設備の稼働期間中、事業区域内の見やすい場所に、市規則で定める事項を記した標識を設置しなければならない。

(令3条例23・旧第18条繰下)

(侵入防止措置)

第20条 運営者は、事業区域内に関係者以外の者が容易に立ち入ることがないよう周囲にフェンス等を設置し、侵入防止措置及び安全対策を講じなければならない。

(令3条例23・旧第19条繰下)

(異常発生時の対応)

第21条 運営者は、発電設備に自然災害による被害又は異常が発生したときは、速やかに現地を確認し、早急に対処するとともに、市長に報告し、地元関係者に周知しなければならない。

(令3条例23・旧第20条繰下)

(発電事業終了後の適正処分等)

第22条 運営者は、発電事業を終了したときは、市規則で定めるところにより、速やかに市長に届け出なければならない。

2 運営者は、発電設備を速やかに撤去し、関係法令等に基づき適正に処分しなければならない。

3 運営者は、発電設備の撤去処分が完了したときは、市規則で定めるところにより、速やかに市長に報告しなければならない。

4 第1項及び前項の場合において、市長は、現地確認を行い、必要な指導又は助言をすることができる。

5 運営者は、第2項に規定する撤去及び処分を速やかに行うために、必要な資金の確保に努めなければならない。

(令3条例23・旧第21条繰下)

(立入調査等)

第23条 市長は、この条例の施行に関し必要な限度において、事業者に対し、報告若しくは資料の提出を求め、又は市長の指定する市職員(以下「指定職員」という。)に、事業区域内に立ち入らせ、設置事業及び発電事業に関する事項について調査させ、若しくは関係者に対する質問をさせることができる。

2 前項の規定により立入調査をする指定職員は、その身分を示す証明書を携帯し、関係者の請求があったときは、これを提示しなければならない。

3 第1項の規定による立入調査の権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。

(令3条例23・旧第22条繰下)

(助言等)

第24条 市長は、事業者に対して、市規則で定めるところにより、第1条の目的達成のために必要な措置を講ずるよう助言又は指導を行うことができる。

2 市長は、事業者が次の各号のいずれかに該当するときは、当該事業者に対し、必要な措置を講ずるよう勧告することができる。

(1) この条例の規定による申請、届出若しくは報告(以下「届出等」という。)を怠ったとき、又は虚偽の届出等を行ったとき。

(2) 設置許可を受ける前に発電設備の設置事業に着手したとき。

(3) 第19条又は第20条の規定による設備を設置しなかったとき。

(4) 第22条第2項の規定による撤去及び処分を行わなかったとき。

(5) 前条第1項の規定による報告若しくは資料の提出をせず、若しくは虚偽の報告若しくは資料の提出をし、同項の規定による事業区域内への立入調査を拒み、妨げ、若しくは忌避し、又は同項の規定による質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の答弁をしたとき。

(6) 前項の規定による助言又は指導に正当な理由なくして従わなかったとき。

(令3条例23・旧第23条繰下・一部改正)

(公表)

第25条 市長は、前条第2項の規定による勧告を受けた事業者が当該勧告に従わないときは、当該事業者の氏名及び住所(法人その他の団体にあっては、その名称及び代表者の氏名並びに主たる事務所の所在地)並びに勧告の内容を公表することができる。

2 市長は、前項の規定による公表を行おうとするときは、あらかじめ事業者に対して、その理由を通知し、意見を述べる機会を与えなければならない。

(令3条例23・旧第24条繰下)

(国又は県への報告)

第26条 市長は、前条第1項の規定により公表を行った後、公表の内容及び事実を国又は県に報告することができる。

(令3条例23・旧第25条繰下)

(手数料)

第27条 設置許可又は変更許可の申請をしようとする者は、別表に掲げる区分に応じ、手数料を納付しなければならない。

2 前項の規定により納付した手数料は、還付しない。ただし、市長が特別の理由があると認めるときは、その全部又は一部を還付することができる。

3 市長が特に必要があると認めたときは、第1項の手数料を減額し、又は免除することができる。

(令3条例23・旧第26条繰下)

(委任)

第28条 この条例の施行に関し必要な事項は、市規則で定める。

(令3条例23・旧第27条繰下)

(施行期日)

1 この条例は、平成31年1月1日から施行する。

(経過措置)

2 この条例の施行の際、現に着手している設置事業については、この条例(第22条から第25条までの規定を除く。)の規定は適用しない。ただし、市長は、現に設置事業に着手している設置者に対し、この条例について遵守するよう協力を求めることができる。

(令和3年条例第23号)

この条例は、公布の日から施行する。

別表(第27条関係)

(令3条例23・一部改正)

太陽光発電設備

手数料の種類

単位

金額(円)

1 許可申請



(1) 発電出力が50キロワット未満のもの

1件

13,000

(2) 発電出力が50キロワット以上2,000キロワット未満のもの

1件

28,000

(3) 発電出力が2,000キロワット以上のもの

1件

40,000

2 変更許可申請



(1) 発電出力が50キロワット未満のもの

1件

6,000

(2) 発電出力が50キロワット以上2,000キロワット未満のもの

1件

15,000

(3) 発電出力が2,000キロワット以上のもの

1件

27,000

風力発電設備

手数料の種類

単位

金額(円)

1 許可申請

1件

28,000

2 変更許可申請

1件

15,000

バイオマス発電設備

手数料の種類

単位

金額(円)

1 許可申請



(1) 発電出力が2,000キロワット未満のもの

1件

28,000

(2) 発電出力が2,000キロワット以上のもの

1件

40,000

2 変更許可申請



(1) 発電出力が2,000キロワット未満のもの

1件

15,000

(2) 発電出力が2,000キロワット以上のもの

1件

27,000

常陸太田市再生可能エネルギー発電設備の適正な設置と地域環境の保全に関する条例

平成30年9月20日 条例第25号

(令和3年12月16日施行)

体系情報
第7編 生/第4章
沿革情報
平成30年9月20日 条例第25号
令和3年12月16日 条例第23号