○常陸太田市消防本部救急業務等感染症対応要綱

平成30年3月30日

消本訓令第2号

(目的)

第1条 この要綱は、救急活動等を遂行する上で、感染症の予防及び血液等暴露事故における初動対策並びに感染症防止対策について万全を期すとともに、各種感染症の対応体制を確立することを目的とする。

(標準予防策)

第2条 救急活動を実施する際は、傷病者の疾病に関係なく汗を除く全ての湿性生体物質(血液、体液、分泌物及び排泄物。以下「血液等」という。)は、伝播しうる感染性微生物を含んでいるかもしれないという原則に基づき、創傷のある皮膚、粘膜と直接接触又は付着した物との接触が予想されるときに手袋、マスク、感染防止衣、ゴーグル等の標準(感染)予防策(以下「スタンダードプリコーション」という。)をとるものとする。

(活動の原則)

第3条 隊員は、あらかじめ病原体等の感染者かどうかを把握することができない点に留意し、救急活動等を実施する場合には、自己防衛を基本とし、傷病者の血液等への直接接触を極力避けて活動するとともに、救急活動等で手指等に創傷を負うことがないよう十分注意するものとする。また、傷病者のプライバシー保護に十分留意するものとする。

(感染防止及び感染症別の対応)

第4条 救急活動の実施に際し、感染防止を図るために次の措置を講ずるものとする。

(1) 搬送救急隊は、必要な情報を入手し、「感染症の患者の移送の手引きについて」(平成16年3月31日健感発第0331001号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)に基づき救急隊員のスタンダードプリコーションの実施に加えて、必要な感染経路別予防策を図るとともに、各感染症疾病に有効な感染防止資器材を活用すること。

(2) 救急車内及び救急資器材等の消毒、滅菌については、「感染症法に基づく消毒・滅菌の手引きについて」(平成16年1月30日健感発第0130001号厚生労働省健康局結核感染症課長通知)及び各消毒薬の殺菌能力、使用領域を参考に、適正に行うこと。

(感染症傷病者搬送後の措置)

第5条 感染症傷病者を搬送した救急隊長は、署長に報告するものとし、感染予防策が完全に実施できたことが確認できれば、署長指示のもと、その後の業務に着手するものとする。

(感染性廃棄物の処理)

第6条 救急活動等で使用された感染性廃棄物は、「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」(昭和45年法律第137号)に基づき処理するものとする。特に二次感染の危険性が強く疑われる感染者の対応で使用した廃棄物については、搬送医療機関に廃棄を依頼するものとする。なお、やむを得ず署所に持ち帰った場合は、指定された感染性廃棄物専用容器に入れ感染の拡大防止を図るものとする。

(感染防止等知識の習得)

第7条 救急隊員は、感染症等に対する感染防止対策を図るため、次に掲げる事項の習得に努めるものとする。

(1) 手洗い・うがいの励行、体力増進の必要性及び衛生、健康管理に関すること。

(2) 各種感染症の伝播形式、発症までの経緯、感染症の疑いがある傷病者に接触する場合の措置及び必要な関係法規に関すること。

(3) 救急隊員、救急資器材、救急自動車等の消毒方法及び消毒薬の知識に関すること。

(4) 感染のおそれがある救急処置(器具による気道確保、静脈路確保、止血、口腔清拭、異物除去等)を行う場合の感染防止対策及び救急資器材の取扱い、保管方法に関すること。

(5) 傷病者のプライバシー保護に関すること。

(針刺し事故等の応急処置)

第8条 針刺し事故や切創事故が生じた場合や結膜又は粘膜が血液等で汚染された場合は、次のとおり処置するものとする。

(1) 受傷後直ちに大量の流水と石鹸で傷口を十分に洗浄する。

(2) 結膜・粘膜への暴露の場合は、大量の流水で洗浄する。

(3) その他必要な処置については、病院等の指示に従う。

(事故後の口頭報告)

第9条 救急活動等で隊員に感染の恐れがある場合は、次のとおり口頭報告をするものとする。

(1) 小隊長は、医療機関収容後直ちに初診医師に報告し、搬送医療機関又は指定医療機関において血液検査等を依頼する。

(2) 搬送医療機関において検査できない場合は、署長に報告し、指示に従うものとする。

(3) 小隊長は、事故の概要を署長に報告する。

(4) 報告を受けた署長は、総務課長へ報告する。

(5) 総務課長は、病院に対して検査等を依頼する。

(6) 事故直後、検査実施時期、その他の処置については、担当医師の指示に従う。

(針刺し事故等の書面報告)

第10条 救急活動等で針刺し事故等が発生した場合は、搬送先医療機関又は指定された病院で傷病者の血液検査を実施するとともに、暴露事故を様式第1号「針刺し事故等報告書」により報告する。なお、血液感染症のうち、早期のワクチン接種や予防投与が必要なものは医師の指示に従い実施し、陽性であることが判明した場合は、経過を観察し、発症した場合は公務災害の認定を受ける。また、消防本部においては事故を掌握すると同時に、公務災害の認定、事故報告の管理、事故発生からの追跡調査まで円滑に行う。

(1) 針刺し事故等とは、主に傷病者に使用した針による針刺し事故、又は傷病者の血液等が隊員の刺し傷や切創など健康な皮膚が破綻した部分に付着若しくは目や口などの粘膜に付着した事故をいう。

(2) 血液感染症とは、HBV感染症(B型肝炎)、HCV感染症(C型肝炎)、HIV感染症(後天性免疫不全症候群:AIDS)、梅毒等をいう。

2 血液検体に関する同意

傷病者の血液は、次のとおり同意を得たうえで検査を実施するものとする。

(1) 血液検査の必要性及び関係者への同意については、診療の一環として原則医師が行うが、医師から消防機関において対応するよう指示された場合は、傷病者又は関係者に対し、個人情報保護や心情等を十分考慮したうえで、様式第2号「血液検体提供及び感染症検査に関する同意書」に基づき説明を行い、血液提供について同意を得るものとする。

(2) 同意の説明を行う者は、署長又は署長の命を受けたものとする。

(3) 同意を得られたならば、搬送医療機関又は指定された病院において検査を実施し、結果を得るものとする。

(4) 同意が得られない場合は、不明血として報告し、医師の指示に従う。

(5) 血液検査等の医療費支払いについては、公費で対応することを医療機関に説明する。

この訓令は、平成30年4月1日から施行する。

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常陸太田市消防本部救急業務等感染症対応要綱

平成30年3月30日 消防本部訓令第2号

(平成30年4月1日施行)