○常陸太田市火災調査規程
令和元年12月24日
消本訓令第2号
目次
第1章 総則
第1節 通則(第1条―第3条)
第2節 調査の体制(第4条―第6条)
第3節 調査の心構え(第7条―第10条)
第4節 調査計画(第11条・第12条)
第2章 原因調査
第1節 通則(第13条・第14条)
第2節 火災時の調査(第15条―第18条)
第3節 現場保存(第19条―第21条)
第4節 鎮火後の調査(第22条・第23条)
第5節 質問(第24条―第26条)
第6節 児童等に対する取扱いの特例(第27条―第31条)
第7節 原因の判定(第32条・第33条)
第3章 損害調査(第34条―第37条)
第4章 調査資料
第1節 照会及び資料提出(第38条―第40条)
第2節 鑑定等(第41条)
第5章 調査書類の作成及び報告(第42条―第45条)
第6章 り災の証明(第46条)
第7章 雑則(第47条―第49条)
附則
第1章 総則
第1節 通則
(趣旨)
第1条 この規程は、消防法(昭和23年法律第186号。以下「法」という。)第7章の規定に基づく火災の調査(以下「調査」という。)の実施に関し必要な事項を定めるものとする。
(調査の目的)
第2条 調査は、火災の原因及び損害の程度を明らかにすることにより、火災予防対策に必要な消防行政の基礎資料を得ることを目的とする。
2 調査は、被災物件の状況を検査するとともに関係者に対し調査上必要な事項を質問し、資料を提出させ、又は報告を求めて行うものとする。
(調査の区分)
第3条 調査は、原因調査及び損害調査に区分する。
2 原因調査は、次に掲げる事項について究明するために行うものとする。
(1) 出火前の状況 出火前の管理、使用状況等
(2) 出火原因 出火箇所、発火源、経過及び着火物
(3) 延焼拡大の状況 延焼経路及び延焼拡大の要因
(4) 初期消火等の状況 初期消火及び火災の状況等
(5) 避難の状況 火災現場における避難者、要救助者の行動及び救出、救助状況等
(6) 消防用設備等の状況 消防用設備の管理及び使用状況
(7) 死傷者の状況 火災発生時及び普段の状況
(8) その他消防行政上必要な事項
3 損害調査は、次に掲げる事項を明らかにするために行うものとする。
(1) 焼き損害 火災によって焼けた物件及び熱によって破損した物件等の損害
(2) 消火損害 消火活動によって受けた水損、破損及び汚損等の損害
(3) 爆発損害 爆発現象の破壊作用により受けた前2号以外の損害
(4) 死傷者 火災に起因して生じた死者及び負傷者
第2節 調査の体制
(調査の責務)
第4条 法第31条の規定による消防長及び消防署長(以下「署長」という。)の調査責任は、次に掲げる区分による。
(2) 署長の調査責任は、別表形式第2号の欄及び形式第3号の欄に規定する火災の調査責任を有するものとする。
(調査本部)
第5条 消防長は、消防行政上、特に必要があると認める火災については調査本部を設置することができる。
2 前項の火災に係る調査本部の組織、任務分の担等は、その都度消防長が定めるものとする。
(相互協力)
第6条 消防長は、調査のために必要があると認める場合は、消防本部及び消防署の調査に従事する職員並びに調査器材を相互に応援協力させるものとする。
第3節 調査の心構え
(調査員の心得)
第7条 消防長又は署長の命により調査に従事する職員(以下「調査員」という。)は、消防長又は署長の代理者としての自覚を深く認識し、火災の現象、社会の動向その他の調査に必要な知識を修得するとともに調査技術を研究し調査能力の向上に努めなければならない。
(秘密を守る義務)
第8条 調査員は、法令を遵守し、調査上知り得た秘密を他に漏らしてはならない。
(民事不介入)
第9条 調査員は、その職務を利用して関係者の民事的な紛争に関与してはならない。
(捜査機関等との協力)
第10条 調査員は、警察署その他の関係機関の職員と緊密な連絡を保ち相互に協力して調査に当たらなければならない。
第4節 調査計画
(調査担当責任者)
第11条 調査担当責任者は、消防士長以上の階級にある職員をもって充てる。
(調査担当責任者の任務)
第12条 調査担当責任者は、具体的な調査計画を定め、調査員の任務分担を明確に指示し、調査、質問、書類作成等が速やかに行われるよう努めなければならない。
第2章 原因調査
第1節 通則
(調査の原則)
第13条 調査は、常に事実の確認を主眼として先入観にとらわれることなく科学的な方法と合理的な判断により事実の究明に努めなければならない。
(調査の開始)
第14条 調査は、火災の覚知と同時に着手し、火災時から鎮火後にわたって行わなければならない。
第2節 火災時の調査
(出火出場時の実況見分)
第15条 消防活動に従事する職員(以下「消防隊員」という。)は、火災現場に出場したときは、直ちに火災の実況見分をしなければならない。
2 前項の調書には、必要に応じ図面、写真等を添付するものとする。
(聞込み調査)
第17条 消防隊員は、火災の早期発見者、初期消火者、通報者等の関係者に聞込みによる調査を行い、必要な情報の収集に努めるものとする。
(調査の記録)
第18条 消防隊員は、必要があると認める場合は、前条の調査により知り得た事項について記録を作成するものとする。
第3節 現場保存
(消火活動時の現場保存)
第19条 消防隊員は、出火場所付近の迅速な消火を心がけるとともに、出火前の状態が推測できるよう現場の保存に努めなければならない。
(鎮火後の現場保存)
第20条 署長は、鎮火後の現場を保存しなければならない。ただし、警察その他関係機関によって現場保存がされている場合は、この限りでない。
(1) 現場保存区域は、捜査機関と協議して決定すること。
(2) 現場保存区域は、必要最少限度の範囲にとどめること。
(3) 現場保存区域は、縄張り又は張り札等で表示すること。
3 署長は、関係者であっても、現場保存区域にみだりに出入りさせてはならない。
4 現場保存区域は、調査の進行に伴い順次縮小し、調査が終了した場合は、速やかに解除するものとする。
(死者の取扱い)
第21条 消防隊員は、現場において死者を発見したときは、速やかに当該現場の最高指揮者に報告しなければならない。
2 前項の報告を受けた最高指揮者は、警察等に連絡するとともに必要な措置を講じなければならない。
第4節 鎮火後の調査
(現場見分)
第22条 調査員は、火災現場その他の関係のある場所に立ち入り、現場見分し、証拠資料の発見及び収集に努めなければならない。
3 第1項の見分は、関係者の立会いのもと行われるよう努めなければならない。
2 前項の写真には、必要な説明を記入しなければならない。
第5節 質問
(質問)
第24条 調査員は、火災の原因究明及び被害状況の把握のため必要があると認めるときは、火元責任者、火気取扱者その他の関係者に対し質問を行い、事実の確認に努めなければならない。
2 調査員は、質問を行うときは、強制的手段を避け、場所・時間等を考慮し、被質問者の任意の供述を得るよう努め、その供述を誘導してはならない。
3 調査員は、伝聞による供述を排除し、事実の供述を得るよう努めなければならない。
2 調査員は、被質問者の供述を録取したときは、その内容を被質問者に閲覧させ、又は読み聞かせ、誤りのないことを確認させたのち供述者の署名押印を求めるものとする。
3 調査員は、前項の供述者が署名することができないときは代筆し、押印することができないときは、左手示指の押印を求めるものとする。
4 調査員は、被質問者が署名又は押印を拒否したときは、その旨を記録しておかなければならない。
5 調査員は、通訳人の介助を得て質問したときは、通訳人を介してその内容を閲覧又は読み聞かせて、供述者及び通訳人の署名押印を求めるものとする。
(被疑者の質問及び押収物件の調査)
第26条 消防長又は消防署長は、警察機関に留置されている放火又は失火の被疑者に対して質問を行うとき、及び押収された証拠物件の調査をするときは、質問・証拠物件調査要望書(様式第5号)により当該警察機関に請求するものとする。
第6節 児童等に対する取扱いの特例
(調査員の心得)
第27条 調査員は、児童(児童福祉法(昭和22年法律第164号)第4条に規定する者をいう。)に対して調査を行うにあたっては、児童の特性をよく理解し、及び言動に注意し、その心情を傷つけないように努めなければならない。
(関係機関との連絡)
第28条 調査員は、児童に対して調査を行うにあたって必要があると認めるときは、警察署、児童相談所、学校その他関係機関との連絡を密にして行わなければならない。
(保護者等の立会い)
第29条 調査員は、第24条の規定により児童に質問し、又は現場の見分に立ち会わせる場合は、保護者、教師等の立会いのもと行わなければならない。
2 調査員は、児童に関して第25条の規定による質問調書を作成する場合には、立会いする保護者、教師等の署名押印を求めるものとする。
4 調査員は、児童の年齢、職業、家庭環境その他の事情を考慮して支障がないと認める場合又は真実が得られないと判断される場合は、第1項の立会いを省略することができる。
(氏名等の公表禁止)
第30条 20歳に満たない者の放火又は失火による火災について、住民、報道機関等に発表する場合は、氏名、年齢、住所等本人を推知できるような情報を漏らしてはならない。
第7節 原因の判定
(判定)
第32条 火災の原因は、出火出場時における見分、実況見分、関係者等の供述、実験等その他の関係資料を総合的に検討し科学的に考察して判定しなければならない。
2 前項の判定書には、総合的結論と原因判定の経過を系統的かつ明確に記録し、それぞれの事実を立証する証拠資料を添付するものとする。
第3章 損害調査
(り災物件の調査)
第34条 消防長又は署長は、調査員に対し現場その他関係のある場所に立ち入って関係者に質問させ、り災物件を詳細に調査させて正確な損害の把握に努めなければならない。
(損害額の決定)
第35条 消防長又は署長は、前条の調査により把握したり災物件及び火災損害の状況を総合的に検討し、損害額を決定しなければならない。
2 前項の損害額は、り災した時点における時価又は原価により算出する。
(り災申告書)
第36条 消防長又は署長は、り災状況の調査上必要があると認めるときは、り災者その他関係者にり災申告書(様式第8号)の提出を求めることができる。
(死傷者の調査)
第37条 消防長又は署長は、火災に起因して死傷者が発生したときは、その状況を調査し、死傷者調査表(様式第9号)を速やかに作成しなければならない。
第4章 調査資料
第1節 照会及び資料提出
(官公署への照会)
第38条 消防長又は署長は、法第32条第2項の規定による通報を求める場合は、火災調査関係事項照会書(様式第10号)により行うものとする。
(資料の提出)
第39条 消防長又は署長は、調査のため必要と認める資料があるときは、関係者に対し任意の提出を求めるものとする。
第2節 鑑定等
(鑑定及び実験依頼)
第41条 消防長は、調査資料の鑑定及び実験(以下「鑑定等」という。)を必要とする場合は、学識経験者又は関係官公署に対し鑑定等の依頼をすることができる。
第5章 調査書類の作成及び報告
(火災事件報告書)
第42条 署長又は消防課長は、調査を完了したときは、火災事件報告書(様式第13号。以下「報告書」という。)を作成し、消防長に報告しなければならない。
(1) 別表による形式第1号に該当する火災は、火災覚知の日から起算して60日以内とする。
(2) 前号に該当しない火災は、火災覚知の日から起算して30日以内とする。
4 署長又は消防課長は、前項に規定する期限内に報告することができない場合は、あらかじめ消防長にその理由を報告し、その承認を受けなければならない。
(書類の省略)
第43条 署長又は消防課長は、前条の書類のうち、火災の種別、規模によりその一部を省略することができる。
第6章 り災の証明
2 前項のり災証明書は、原則として現場見分が終了するまで発行してはならない。
第7章 雑則
(火災原因に関する回答)
第47条 消防長は、火災の原因その他調査事項について、捜査機関その他の関係機関から照会があったときは、その内容、目的その他必要な理由について審査し、必要事項について回答することができる。
(報告書の保存)
第48条 この規程により作成した報告書は、消防本部に保存するものとする。
2 前項の報告書の保存年限は、作成が完了した年度の翌年度から30年間とする。
(その他)
第49条 この規程の施行に関して必要な事項は、消防長が別に定めるものとする。
附則
この訓令は、令和2年1月1日から施行する。
附則(令和4年消本訓令第1号)
この訓令は、令和4年4月1日から施行する。
別表(第4条、第43条、第45条関係)
火災調査書類の省略の基準
形式第1号 | 形式第2号 | 形式第3号 | |
火災の種類 | (1) 建物火災 (2) 車両、船舶、航空機火災 (3) 特異火災 | (1) 50m2以下の建物火災 (2) 車両、船舶、航空機火災 | 林野、その他の火災 |
原因調査書関係 | ① 火災事件報告書(様式第13号) ② 火災原因判定書(様式第6号) ③ 出火出場時における見分調書(様式第1号) ④ 消防活動報告書(写) ⑤ 実況見分調書(様式第2号) 6 死・傷者発生調査書(様式第14号) 7 死傷者調査明細書(様式第9号) ⑧ 質問調書(様式第4号) ⑨ 関係図面(様式第3号) ⑩ 写真添付書 11 他参考資料 | ① 火災事件報告書(様式第13号) ② 火災原因判定書(様式第6号) 3 出火出場時における見分調書(様式第1号) ④ 消防活動報告書(写) ⑤ 実況見分調書(様式第2号) 6 死・傷者発生調査書(様式第14号) 7 死傷者調査明細書(様式第9号) ⑧ 質問調書(様式第4号) ⑨ 関係図面(様式第3号) ⑩ 写真添付書 11 他参考資料 | |
損害調査関係 | ① 火災損害調査書(様式第7号) ② 火災損害明細書(様式第7号の2) ③ り災申告書(様式第8号) 4 関係図面 5 他参考資料 | ||
備考 | (1) 各形式中の数字に付した○印は、必要添付書類とし、その他は状況に応じて添付する。 (2) 「特異火災」とは次に掲げる火災をいう。 ア 死者の生じた火災 イ 負傷者が5人以上生じた火災 ウ 損害額が1億円以上の火災 エ 覚知後1時間を経過しても鎮火できない林野火災及び500アール以上の林野火災 オ その他、消防長が認める特殊な態様の火災又は特殊な出火原因と思われる火災で消防上特に参考となる火災 |
様式等の明細
別表 火災調査書類の省略の基準
様式第1号 出火出場時における見分調書
様式第2号 実況見分調書
様式第3号 図面用紙
様式第4号 質問調書
様式第5号 質問、証拠物件調査要望書
様式第6号 火災原因判定書
様式第7号 火災損害調査書
様式第7号の2 火災損害調査明細書(その1・その2)
様式第8号 り災申告書
様式第9号 死傷者調査明細書(その1・その2)
様式第10号 火災調査関係事項照会書
様式第11号 火災調査関係資料提出命令書
様式第11号の2 火災調査関係報告徴収書
様式第12号 調査資料提出書
様式第13号 火災事件報告書
様式第14号 死・傷者発生調査書
様式第15号 火災事件変更報告書
様式第16号 り災証明書交付申請書
様式第17号 り災証明書
様式第18号 り災証明交付簿
(令4消本訓令1・一部改正)