○常陸太田市政治倫理条例
平成18年6月20日
条例第37号
(目的)
第1条 この条例は、市政が市民の厳粛な信託によるものであることを認識し、その受託者たる常陸太田市長、副市長、教育長(以下「市長等」という。)及び常陸太田市議会議員(以下「議員」という。)が市民全体の奉仕者として、人格と倫理の向上に努め、いやしくもその地位による影響力を不正に行使して、自己の利益を図ることのないよう必要な措置を定めることにより、市政に対する市民の信頼に応えるとともに、市民が市政に対する正しい認識と自覚を持ち、もって公正で開かれた民主的な市政の発展に寄与することを目的とする。
(市長等及び議員の責務)
第2条 市長等及び議員は、市政に携わる責務を深く自覚し、第4条に規定する政治倫理基準を遵守しなければならない。
(市民の責務)
第3条 市民は、主権者としての責務を自覚し、市長等及び議員に対し、公正な職務の遂行を損なわせるおそれのある行為を求めてはならない。
(政治倫理基準)
第4条 市長等及び議員は、公職にある者に対して適用される法律のほか、次に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。
(1) 市民全体の代表者として品位と名誉を損なうような一切の行為を慎み、その職務に関して不正の疑惑を持たれるおそれのある行為をしないこと。
(2) 市又は市が設立した公社、市が資本金、基本金その他これらに準ずるものを出資し、又は拠出している公益法人、株式会社、有限会社が行う建設工事請負契約、建設コンサルタント業務委託契約、業務委託契約、物品売買契約その他の契約(下請工事等を含む。)に関して特定の業者を推薦し、又は紹介や斡旋をするなど特定の者のために有利な取り計らいをしないこと。
(3) 市が行う許可又は認可に関し、特定の者のために有利な取り計らいをしないこと。
(4) 議員は、その権限又はその地位による影響力を行使するような働きかけにより市職員の公正な職務執行を妨げないこと。
(5) 市職員(臨時職員等を含む。)の採用に関して推薦若しくは紹介をしないこと。
(6) 議員は、市職員の昇格、異動に関して、推薦若しくは紹介をしないこと。
(7) 政治活動に関し、政治的又は道義的批判を受けるおそれのある寄付等を受けないこと。市長及び議員の後援団体についても同様とする。
2 市長等及び議員は、政治倫理基準に違反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、自ら潔い態度をもって疑惑の解明に当たるとともに、その責任を明らかにしなければならない。
(資産等報告書等の提出)
第5条 議員は、その任期開始の日において有する資産等について、資産等報告書を同日から起算して100日を経過する日までに、議長に提出しなければならない。
2 議員は、その任期開始の日後毎年新たに有することとなった資産等であって12月31日において有するものについて、資産等補充報告書をその翌年の4月1日から同月30日までの間に、議長に提出しなければならない。
3 前2項に定める資産等報告書及び資産等補充報告書の作成については、常陸太田市長の資産等の公開に関する条例(平成7年常陸太田市条例第31号。以下「市長資産公開条例」という。)第2条の規定の例による。
4 議長は、資産等報告書又は資産等補充報告書を提出期限から10日以内に市長に送付するものとする。
(所得等報告書の提出)
第6条 議員(前年一年間を通じて議員であった者に限る。)は、所得等報告書を、毎年、4月1日から同月30日までの間(当該期間内に任期満了により議員でない期間がある者で任期満了による選挙により再び議員となった者にあっては、同月1日から再び議員となった日から起算して30日を経過する日までの間)に、議長に提出しなければならない。
2 前項に定める所得等報告書の作成については、市長資産公開条例第3条の規定の例による。
3 議員は、所得等報告書の提出に併せ、国又は地方公共団体から賦課されている税等の納付状況に関する資料を提出しなければならない。
4 議長は、所得等報告書を提出期限から10日以内に市長に送付するものとする。
(関連会社等報告書の作成)
第7条 議員は、毎年、4月1日において報酬を得て会社その他の法人(法人でない社団又は財団で、代表者又は管理人の定めがあるものを含む。以下この条において同じ。)の役員、顧問その他の職に就いている場合には、当該会社その他の法人の名称及び住所並びに当該職名を記載した関連会社等報告書を、同月2日から同月30日までの間(当該期間内に任期満了により議員でない期間がある者で、当該任期満了による選挙により再び議員となったものにあっては、同月2日から再び議員となった日から起算して30日を経過する日までの間)に、議長に提出しなければならない。
2 議長は、関連会社等報告書を提出期限から10日以内に市長に送付するものとする。
(資産等報告書等の保存及び閲覧)
第8条 市長は、前3条の規定により作成された資産等報告書、資産等補充報告書、所得等報告書及び関連会社等報告書を議長から送付された日の翌日から起算して5年を経過する日まで市長において保存しなければならない。
2 何人も、市長に対し、前項の規定により保存されている資産等報告書、資産等補充報告書、所得等報告書及び関連会社等報告書の閲覧を請求することができる。
(政治倫理審査会の設置)
第9条 政治倫理に関する審査、調査等を行うため、地方自治法(昭和22年法律第67号。以下「法」という。)第138条の4第3項の規定に基づき、常陸太田市政治倫理審査会(以下「審査会」という。)を置く。
(審査会の所掌事務)
第10条 審査会は、次に掲げる事務を行う。
(1) 第12条第1項の規定による請求に係る調査を行い、その結果を市長に報告すること。
(3) 前2号に掲げるもののほか、政治倫理の確立を図るため、市長の諮問に対し答申又は市長等及び議員に対し必要な勧告をすること。
2 審査会は、前項の事務を行うため、関係人に対し、説明又は資料の提供を求め必要な調査を行うことができる。
(審査会の組織及び委員)
第11条 審査会は、委員6人をもって組織する。
2 委員は、人格が高潔で優れた識見を有する者及び議会の議員及び長の選挙権を有する者のうちから必要のつど市長が委嘱する。
3 委員の任期は、当該諮問にかかる審議が終了したときまでとする。
4 審査会に、会長及び副会長各1人を置き、委員の互選によってこれを定める。
5 委員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後も、同様とする。
6 委員は、その職務を政治的目的のために利用してはならない。
7 委員は、公正かつ適正にその職務を遂行しなければならない。
(市民の調査請求権)
第12条 市民は、次の各号のいずれかに該当する事由があるときは、議会の議員及び長の選挙権を有する10人以上の者の連署をもって、その代表者から、これを証明する資料を添付した調査請求書を市長に提出し、審査会が調査を行うよう請求することができる。
(1) 市長及び議員の資産等報告書、資産等補充報告書、所得等報告書及び関連会社等報告書の記載内容に疑義があるとき。
(2) 第4条第1項に規定する政治倫理基準に違反する疑いがあるとき。
2 市長は、前項の規定により提出された調査請求書のうち、議員に係るものの写しを議長に送付しなければならない。
3 市長は、第1項の規定により調査請求書が提出された場合において、市長が必要と認めるときは、速やかに審査会に諮問しなければならない。
4 審査会は、前項の規定により諮問を受けたときは、速やかに調査を行い、諮問を受けた日の翌日から起算して60日を経過する日までに、調査の結果及び意見を記載した調査報告書(以下「調査報告書」という。)を作成し、これを市長に答申しなければならない。
5 市長は、前項の規定による答申があったときは、その調査報告書のうち、議員に係るものの写しを速やかに議長に送付しなければならない。
6 市長は、調査報告書を、市長が審査会から答申を受けた日の翌日から起算して5年を経過する日まで保存しなければならない。
7 何人も、前項の規定により保存されている調査報告書の閲覧を請求することができる。
(市長等及び議員の協力義務)
第13条 市長等及び議員は、審査会の要求があったときは、審査に必要な資料を提出し、又は審査会の会議に出席して説明をしなければならない。
(信頼回復のための措置)
第14条 市長及び議員は、審査会の答申において市長及び議員の行為が政治倫理基準等に違反している旨の指摘がなされたときは、これを尊重して、政治倫理の確保のために必要と認められる措置を講じなければならない。
(調査報告書の公表)
第15条 市長は、調査報告書を速やかに公表するとともに、その写しを第12条第1項の規定による請求をした市民に送付しなければならない。
(職務関連犯罪容疑による起訴後の説明会)
第16条 市長等及び議員が、刑法(明治40年法律第45号)第197条(収賄、受託収賄及び事前収賄)から第197条の4(あっせん収賄)までの各条及び第198条(贈賄)に定める贈収賄罪並びに公職にある者等のあっせん行為による利得等の処罰に関する法律(平成12年法律第130号)に規定する犯罪その他職務に関連する犯罪(以下「職務関連犯罪」という。)による起訴後、引き続きその職にとどまろうとするときは、当該市長等又は当該議員は、審査会が説明会を行うよう市長に請求することができる。この場合において、当該市長等又は議員は、説明会に出席し、釈明するものとする。
3 前2項の請求を受けた場合において、市長が必要と認めたときは、速やかに審査会を設置し、説明会の開催を求めなければならない。
4 審査会は、前項の規定による説明会の開催を求められたときは、速やかに開催しなければならない。
5 市民は、説明会において、当該市長等又は議員に質問することができる。
6 説明会の開催及び運営について必要な事項は、別に定める。
(職務関連犯罪による有罪確定後の措置)
第18条 市長等及び議員が第16条に規定する罪により有罪判決を受け、その刑が確定したときは、公職選挙法(昭和25年法律第100号)第11条(選挙権及び被選挙権を有しない者)第1項の規定により失職する場合を除き、当該市長等又は議員は、市政に対する市民の信頼を回復するため、辞職手続をとるものとする。
2 議会は、前項の規定による辞職手続きを執らない議員に対し、議会の名誉と品位を守り、市民の信頼を回復するため、辞職を勧告するものとする。
(市が行う契約に関する遵守事項)
第19条 市長等及び議員が役員をし、継続的に一定の収益事業を行っている法人、その他の団体(個人が経営し、又は運営するものを含む。)並びに市長等及び議員が実質的に経営又は運営に携わっている法人(以下「法人等」という。)は、一般競争又は指名競争入札参加資格を申請することができない。市長等及び議員の配偶者並びに血族の2親等以内又は同居の親族(以下「親族等」という。)が役員をしている法人等についても同様とする。
(1) 市長等及び議員が資本金その他これらに準ずるものの3分の1以上を出資している法人等
(2) 市長等及び議員が年額1,200,000円以上の報酬(顧問料等その名目を問わない。)を受領している法人等
3 市長等及び議員は、市長と建設工事請負契約、建設コンサルタント業務委託契約、業務委託契約、物品売買契約その他の契約を締結してはならない。親族等の法人等についても同様とする。
4 市長等及び議員は、その任期開始の日において、一般競争又は指名競争入札参加資格を有している場合は、30日以内にその取り下げをしなければならない。親族等の法人等についても同様とする。
(委任)
第20条 この条例に定めるもののほか、必要な事項は、別に定める。
附則
(施行期日)
1 この条例は、平成19年4月1日から施行する。
(常陸太田市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例の一部改正)
2 常陸太田市特別職の職員で非常勤のものの報酬及び費用弁償に関する条例(昭和36年常陸太田市条例第7号)の一部改正を次のように改正する。
〔次のよう〕略