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教育・文化・スポーツ

梅津福次郎

梅津福次郎の生涯

梅津福次郎は安政5年(1858)2月4日,太田村下井戸の梅津(須)友次郎の次男として生まれました。

負けず嫌いで意地が強く,人よりも常に一歩前を進んでいなければ気が済まないような性格でした。

 

23歳になった明治13年(1880)9月,結婚後間もなくヤエ夫人と函館に渡り商売をはじめました。

1日に人の2倍も3倍も仕事をすることで,顧客の開拓と客からの信用を着々と築きあげ,函館区会議員や函館商業会議所議員も務めました。

函館は大火の多い場所で,福次郎は4度も店を焼失しましたが,その都度いち早く復興して商売を続けるのでした。

 

商売に励む一方で,住んでいる函館ばかりでなく,故郷である太田にも,今も残る太田町役場(現 梅津会館)に3万5千円,久昌寺に6万円,西山修養道場(現 西山研修所)に5万円など,建築のために多額の寄附をしました。

なかでも最も多額であったのは,函館市立中学校(現 市立函館高等学校)の建築にあたって,約3万坪の土地の購入と校舎建築費として65万円を寄附したことでした。

 

このように,常陸太田と函館の近代化に大きな足跡を残した福次郎は,昭和17年(1942)6月23日に青森県大鰐温泉で85歳の生涯を閉じました。

亡骸が函館港に戻った際には,桟橋に函館市立中学校の生徒が整列して出迎え,菩提寺である実行寺(じつぎょうじ)に葬られました。

若き日の福次郎 若き日の福次郎

晩年の福次郎 晩年の福次郎

福次郎 故郷への寄附

福次郎は,自分の商売が成功したのは生まれ故郷である太田という土地があってのことと,その感謝を込めて多方面に寄附をしました。

  • 太田町小学校
    1,000円(大正12年)
  • 太田実科高等女学校(現 太田西山高等学校)建築
    10,000円(昭和4年)
  • 久昌寺本堂等建築
    65,000円(昭和4年)
  • 馬場八幡宮修繕
    100円(昭和8年)
  • 太田町役場建築
    35,000円(昭和9年)
  • 若宮八幡宮社務所建築
    3,000円(昭和9年)
  • 太田町役場開庁式典
    3,000円(昭和11年)
  • 西山修養道場建築
    50,000円(昭和11年)
  • 若宮八幡宮基本金
    5,000円(昭和13年
  • 義公廟建設
    1,000円(昭和15年)

函館に見る足跡-梅津商店-

福次郎は函館で度重なる大火に見舞われ,特に明治21年,同40年,大正10年,昭和9年の大火では店舗を焼失してしまいました。

 

行商から商売を始めた福次郎は,明治16年に店舗のある借家に移り,雑貨食料品類の販売を始めました。

その後酒店に転業し,同19年には再度店舗を移転,行商を止めて「梅津」の看板を掲げ,酒類のほか食料品・雑貨まで扱うこととなりました。

明治23年には末広町の角地を月54円(『梅津福次郎翁立志伝』では72円)で借り,「梅津という男は正気なのか」と言われながら店舗を移しました。

 

初代の建物は2階に洋風の窓を取り入れた和洋折衷の造りで,『梅津福次郎小伝』に収められた絵によって知ることができます。

明治40年の大火後に造られた店舗は,和風の町家型でどっしりしたものでした。

大正10年の大火後は洋風の建物で,木骨コンクリート造の2階建て,さらに当時の流行を取り入れ,角の部分を丸めてショーウィンドウを設けています。

しかしコンクリート造でありながら昭和9年の大火で焼失してしまったため,その翌年,現在も残る木造モルタル塗の建物が造られました。

市電の十字街電停のすぐ脇で,奥には函館山を望み,多くの人々が行き交う場所に,今もその建物は残っています。

2代目梅津商店 2代目梅津商店

3代目梅津商店 3代目梅津商店

4代目梅津商店 4代目梅津商店

現在の梅津商店 現在の梅津商店

太田町役場竣工

昭和10年4月11日に起工した太田町役場は,翌年6月に竣工し,8月1日付で役場移転が告示されました。

竣工式は10月20日と21日の2日間にわたって行われることとなり,福次郎はこの式典に係る経費として3千円を寄附しています。

 

1日目である20日は雨模様でしたが,午前9時前に庁舎前にある胸像の除幕式が,11時から2階会議室で福次郎や安藤茨城県知事などを迎えて竣工式が開かれ,その後1階で立食での祝賀会が行われました。

竣工式には総勢600名の出席者を迎えました。

式典のほかにも余興としてレビュー・太神楽・仕掛け花火・動物のショーなどが予定され,街中いたるところにアーチが設けられましたが,残念ながら雨のため,ほとんどが延期または中止となりました。

しかし役場庁舎は夜間もイルミネーションで飾られ,不夜城のようであったと,当時の新聞は報じています。

 

翌21日は自治功労者表彰や敬老会が行われ,こちらにも福次郎は参列していました。

 

当時の新聞には,「県下に冠たる太田町役場竣工」「新装なり太田町役場 けふ 喜びの竣工式」「太田町役場新築 竣工式挙行 庁内不夜城と化す」「雨中沸き返る盛況 太田町役場の竣工祝賀会」と,素晴らしい庁舎の完成と,太田町の祝賀気分を伝えています。

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